Man On a Mission

システム運用屋が、日々のあれこれや情報処理技術者試験の攻略を記録していくITブログ…というのも昔の話。今や歴史メインでたまに軍事。別に詳しくないので過大な期待は禁物。

ITストラテジスト合格体験記 おまけ

前回記事で述べた通り、合格時の復元論文を掲載します。
平成28年度試験の午後2の問1に対する解答です。
正直、大した論文ではありません。
(というか、ちょっとショボい。)
この程度でも受かるんだ、と感じる方が多いのではないでしょうか。

 平成28年度午後2 問1 「ビッグデータを活用した革新的な新サービスの提案について」

1.ビッグデータを活用した新サービスの提案の背景
1-1 事業の概要と特性
 A社は、中堅の損害保険会社である。A社の事業の特性として、自動車保険の売上に占める割合が高いことが挙げられる。A社では、火災保険や傷害保険など、多種の保険商品を取り扱っているが、自動車保険と比較すると売上に占める割合は低く、自動車保険への依存度が高い状況にある。
1−2 新サービスの提案の背景となる事業環境
 近年、損害保険業界では、代理店を介さず、Web等により直接自動車保険を販売する通販型保険会社の参入が相次ぎ、競争が激化している。
 通販型保険会社は、代理店を介在しないため、コスト面においては従来型保険会社より有利である。そのため、低価格な自動車保険を実現しており、これは、A社にとって大きな脅威となっている。
そのため、A社は中長期経営計画において、市場における競争力を高めることに重点を置く方針を策定した。
 自動車損害保険では、定量的に比較しやすい保険料と補償金額が、市場競争力に大きな影響を与える。しかし、コスト面では、代理店が介在しない通販型損害保険の方が有利であり、単純に保険料・補償金額の改定だけで競争することは難しい。しかし、価格面においても、ある程度の引き下げが行えなければ、競争力が失われてしまう。
 このことから、競合他社との差別化を図り、かつコスト面についても競争力を維持できるよう改善することが、A社の競争戦略として策定された。
 私は、A社の経営企画部に所属するITストラテジストである。私は、経営者の指示により、上記、競争戦略を実現する施策の検討を行った。

2.事業を優位に展開するための新サービス
2−1 ビッグデータを活用した革新的な新サービス
 私は、先進的な保険商品の取り組みが多い海外事例を収集・分析し、ビッグデータを活用した新サービスとして、テレマティクス保険の導入を検討することにした。
 テレマティクス保険は、自動車の走行特性、例えばブレーキやハンドル操作などの情報を収集・分析し、事故リスクに応じて保険料への反映を行う保険商品である。
 テレマティクス保険の実現には、被保険者のドライバー(以下、ドライバーという)の走行特性収集と、走行特性および事故データから相関関係の分析を行う必要がある。
 私は、走行特性の収集については、車載デバイスによりデータ収集を行うこととした。車載デバイスは通信機器を内蔵し、蓄積した走行特性データを、定期的にA社へ送信する。
 走行特性と事故の相関関係の分析については、膨大な走行特性と事故のデータ(以下、ビッグデータという)が必要となり、A社が蓄積しているデータでは対応できない。私は、ビッグデータ事業を行っているB社と契約し、ビッグデータの提供を受けることとした。また、A社では事故リスクの分析についてはノウハウを所有しているが、走行特性の分析経験はない。そこで、走行特性の分析について、B社とコンサルティング契約し、ノウハウ獲得を行うこととした。
 なお、販売においては、顧客・代理店の混乱を避けるため、新たな保険商品としてではなく、従来保険商品の付帯サービスとすることとした。事故リスクに応じた保険料への反映は、キャッシュバックにより行う。
2−2 今までのサービスとの違い
従来の保険商品・サービスとの違いを述べる。
(1)顧客や状況
 ドライバーの運転が、実質的な保険料に反映されることで、従来商品との差別化を実現できる。普段から安全運転を行っているドライバー、これから安全運転したいと考えるドライバーに対して訴求力がある。
(2)効果
安全運転により保険料を安価に出来るため、事故件数の減少が期待でき、事故対応にかかるコストの削減が見込める。また、事故件数の減少は、企業顧客にとってもメリットとなる。顧客の走行特性についてのレポートを、オプションサービスとして組み込むことで、従来と異なる面から企業顧客の需要を喚起できる。

3.マネジメント層への提案と評価、改善事項
3−1 マネジメント層への提案
 私は、テレマティクス保険導入について、マネジメント層への提案を行った。
 提案では、従来保険との違いを中心に説明を行った。提案において特に工夫した点として、採算性判断の根拠となる点を明確化して説明したことが挙げられる。具体的には、需要調査として行った潜在顧客層や代理店に対するアンケート、海外事例の調査及び作成した概算見積を基に、採算性の根拠を説明した。なぜならば、テレマティクス保険はキャッシュバックや車載デバイスなど、従来保険商品にはないコストが発生するため、マネジメント層からの承認を得るためには、検討の精度が十分なものであることを理解してもらう必要があると考えたからである。
 以上の提案により、マネジメント層からの承認を得ることができた。
3−2 評価と今後の改善事項
 導入したテレマティクス保険は、顧客から好評を得ており、特に企業顧客からの評価が高い。
 売上、利益率とも好調であり、マネジメント層からも高い評価を得ることができた。
 私は、テレマティクス保険を発展させるため、今後、走行特性の取得データを増加させ、事故リスク判定精度を高める計画を立てている。また、ドライバーに対して、事故リスクの低い運転方法を、ビッグデータから分析し提示することで、事故件数の更なる減少をねらう。
                     -以上ー