Man On a Mission

システム運用屋が、日々のあれこれや情報処理技術者試験の攻略を記録していくITブログ…というのも昔の話。今や歴史メインでたまに軍事。別に詳しくないので過大な期待は禁物。

情報処理技術者試験の勉強方法 〜合格するための勉強をしよう

2017年度春期の情報技術者試験まで、残すところ約1ヶ月となりました。
今回は、情報処理技術者試験の勉強のやり方について、触れたいと思います。

試験区分ごとではなく、全般的な勉強法についての記事ですので、やや具体性に欠けるところがあると思いますが、時間がある方はご覧いただければ。
(一応、春期実施の個々の試験についても、最後に少し触れたいと思います。とはいえ、私が取得している試験区分でしか述べられませんので、対象は基本情報技術者応用情報技術者データベーススペシャリスト、それから情報セキュリティスペシャリストの後継である情報処理安全確保支援士についてのみです。)

試験勉強は知識と練習の二本立て

さて、情報処理技術者試験は、所詮は試験です。
試験ですので、これに合格しようとするならば、当然、試験に向けた勉強が必要となります。
しかしながら、意外とこの点を忘れている方が多いです。で、その場合どうなるかというと、あまり試験に役立たない勉強に時間を費やしてしまって実試験で苦戦する、というパターンをちらほら見ます。

では、情報技術者試験に向けた勉強のやり方とはなにか?
当たり前ですが、必要な知識を身に付けることと、試験問題を解く練習が必要です。

問題を解くための知識と、問題を解くための練習の双方が必要…というのは当たり前のようですが、しばらく試験から離れていた方、特に社会人の方なんかは、試験勉強のやり方を忘れてしまっていることが多いです。
典型的なパターンだと、試験参考書だけやたら熟読してしまう人や、逆に、ただひたすら過去問だけをやり込む人が、ちらほら見られます。
以前の記事でも似たようなことを書いているのですが、前者(テキスト熟読タイプ)の人は、知識だけ身についても、問題を解く練習が不足しがちなため、実際の試験の得点に結び付けられません。
後者(ひたすら過去問タイプ)は、過去問演習をやり込むものの、知識習得が不十分なため、効果が出ません。
(試験カンがあったり、元々それなりに知識がある人なら、上記の勉強でもいけたりしますが。)

情報技術者試験の勉強では、最初にある程度の知識を身につけて、その後は過去問で試験を解く練習をしながら、足りない知識を補填していくのが、良いかと思います。

勉強の流れ

勉強方法のお勧めは、試験対策本(テキスト・参考書)をざっと読んだ後、適当な年度の過去問演習にとりかかり、その結果を見てその後の勉強方針を調整することです。
(過去問の直近2回分くらいは、もう少し後に取っておきたいので、3~6回前くらいの過去問がいいんじゃないでしょうか。)

過去問演習結果による勉強方針の調整

過去問演習の結果、解答が分からなかった問題が多い場合は、知識が不足してますので、試験参考書を再読します。
私の感触では、分からない問題が6割超えとかだと、再度、試験参考書を通読した方が良いように思います。

過去問演習で、4、5割以上は正解できてるのであれば、個々の問題について個別学習します。具体的には、解答が分からない/間違えた問題について、必要となる知識を補填し、なぜその選択肢が正解/間違いなのか説明できるようにします。

なお、解答に迷うケースが多い場合は、練習不足であることが多いです。
その場合、IPAの公式解答例を見て、なぜその選択肢が正解/間違いなのか説明できるように解答プロセスを追ってみると良いと思います。
独力で解答プロセスを追うのは、大変なので、この部分は試験対策本の過去問説明などを参考にしてください。IPAの講評が参考になることもあります。

一通り再読/個別学習し終えたら…過去問演習に戻る

分からない問題が多くて試験参考書を再読する場合も、間違った問題について個別学習する場合も、一通りの勉強を終えたなら、再度過去問演習に取り掛かります。
そして、過去問演習の結果から、更に試験参考書を再読するのか、間違った問題について個別学習するのかを判断します。
この段階になると、苦手分野などもわかってくると思うので、特定分野について対策する*1、という選択肢も加わるでしょう。

なお、フルに過去問演習すると大変なので、分野ごとで演習とか、午後1のみ演習とかでも構いません。キモとなるのは、漫然と勉強せず、自分の状況に応じて勉強内容を決定することです。

安定的かつ余裕をもって合格ラインを超える

情報技術者試験における勉強の目標は、「安定的かつ余裕をもって合格ラインを超える」であると言えます。

過去問演習により、合格ラインに到達しているか、到達していなければどの程度の差があるかを明確化しましょう。
合格ラインに到達していない場合、その差は、どの程度勉強しなければならないかの目安となります。

また、出題内容のバラつきによって合格できたり出来なかったり、では困るので、「安定的」に合格ラインを超えることが重要です。
過去問練習の結果から、安定的に得点できているか確認しましょう。不安定であれば、原因を特定し(苦手なタイプの出題があるとか)対策します。
(まれに、出題が悪問であることが原因というケースもあります。その場合は、他の出題では問題なく得点できてるでしょうから気にする必要はありません。)

情報技術者試験では、午前、午後いずれにおいても、100点満点中60点が合格ラインです*2
午後問題では、配点が公開されてないので、過去問演習で正確に得点数を判定することはできません。
とはいえ、私の経験上、正答率との大きなズレはなさそうですので(というか、正答率より実点数の方が高いことが多かったです)、余裕をもって7割以上の正答率を目標とすると良いかと思います。
(実際上は、出題難易度のバラつきなどにより得点調整されてるようです。このあたりも「余裕をもって」という点が重要な理由です。)

なお、基本情報技術者応用情報技術者では、午後問題は分野ごとに出題されます。
1分野に集中しすぎても、得点数には限度がありますので、1分野に偏った勉強になり過ぎないよう注意が必要です。トータルで7割以上の正答率を目指しましょう。

出題者の狙いを考えてみる

勉強時は、出題者がどのような意図で問題を出しているのか、意識することをお勧めします。
具体的には、IPAの公式解答例、同解答例中のコメント、講評を読んで考えてみます。

これにより、出題のキモとなる部分の把握、IPAの要求する解答パターンが理解でき、正答率の向上に役立ちます。
過去問練習後に、講評を確認するだけでも、得るものは大きいと思います。

個々の試験について

さて、一応、個々の試験についても、軽く触れたいと思います。

基本情報技術者試験(FE)

午後問題は13問中、7問選択(2017年3月現在)となります。
ただし、セキュリティ問題、アルゴリズム、プログラム(表計算含む)は必須問題です。
ここで重要なのは、アルゴリズム、プログラムがそれぞれ20点配分であることです。
アルゴリズム、プログラムだけで40点占めるので、こいつをどうにかしないと合格は厳しいです。
苦手な人でも、ある程度は得点したいところ。

しかし残念ながら、当該分野はあまり明確なコツというものがありません。
一応、入力されるデータと出力されるデータに着目する、とかプログラムの目的を正確に理解する、とかはあるのですが、これはコツというよりは前提条件、心構えに近いです。
(プログラムの目的を正確に理解してなければ、解けないのは当たり前ですね。)
ただ一つ言えるのは、早く正確なトレースが極めて重要です。
正答率が上がらない方は、トレースの部分だけ、何度かじっくり追ってみるのも良いでしょう。慣れてきたら、トレースの速度を上げて、さらに慣れたら問題全体にチャレンジします。
アルゴリズム・プログラムについては、勉強というよりは練習であると割りきりましょう。

応用情報技術者(AP)

試験範囲が広いです。
しかし、午前問題はしこたま過去問演習することであらかた対応できます。
やや深い知識を要求される午後問題では、あらかじめ分野を選択しておけるので、実質上、試験範囲の広さは大した問題ではありません。

基本情報技術者と違って、解答が記述式になる、すなわち選択肢から選ぶのではなく、自分で解答を書かねばならない、という点の方が重要だと思います。選択肢という「情報」が無くなるので、より正確に問題文を読みとかねばなりません。
午後試験はIT知識が必要な国語の問題、といった風情になります。問題文中に解答に必要な情報が散りばめられてますので、それらの情報を収集し、適切な解答を導き出す練習が必要です。ネガティブ表現や制約条件になる箇所にはマーキングするなど、問題文を「解析」するつもりで解くと良いと思います。
過去記事で、応用情報技術者合格体験記を書いてますので、そちらもご参照ください。

oplern.hatenablog.com

データベーススペシャリスト(DB)

基本情報技術者と同様、勉強というより練習である、という割り切りが必要な試験です。
午後2は2問中1問選択となっており、概念データモデル設計を選択するのが常道です。
午後1はさほどでもないのですが、午後2は完全に練習です。辛いです。
こちらも、過去記事で受験記を書いてますので、詳細はそちらを。

oplern.hatenablog.com

情報処理安全確保支援士

情報セキュリティスペシャリストの後継試験です。
今のところ、情報セキュリティスペシャリストと同様の試験内容・難易度が予想されています。
午後問題では、問題文の読み方を工夫しないと時間が厳しいです。個人的には、ざっと読んで問題文の全体構造を把握し、その後設問に進んで、設問関連箇所を解析する、といった読み方をお勧めします。
情報セキュリティスペシャリストについては、過去、複数回にわたって記事を書いてますので、詳細についてはそちらをご参照ください。

oplern.hatenablog.com

最後に

一応、当記事に関する注意点を。
以前、ITパスポートについての記事でも同じことを書いたのですが、上記の勉強法はあくまでも、私が推奨するやり方であり、万人に適するものではありません。
試験対策というものは、個々人で状況が異なるので、どうしても、それぞれの状況に合わせて自分で方向性を調整する必要があるからです。
漫然と勉強せずに、合格するための手段を考えましょう、ということですね。

それでは、残り約1ヶ月、皆様お体に気をつけつつ、頑張ってください。

ちなみに、私は今回プロジェクトマネージャを受験しようと思っていたのですが、前年に引き続き諸事情でリタイアです。
プロジェクトマネージャを受験できない呪いがかかってるのか。来年はシステム監査技術者にしとこうかな…。

 

 

*1:試験によっては、選択分野から外すことも「対策」です。

*2:ITパスポート除く