Man On a Mission

システム運用屋が、日々のあれこれを記録していくブログです。情報処理技術者試験の話題多し。高度試験の攻略なども。最近はやや歴史づいてます…。

【旧日本軍】手榴弾あれこれ【陶製手榴弾】

唐突ですが、今日は手榴弾について触れてみます。とはいっても、主に太平洋戦争当時の手榴弾についてごく簡単に。

榴弾のごくごく基本的な知識

榴弾とは、その名前の通り「手で投げる榴弾」です。
榴弾とは、中の火薬を爆発させることで、榴弾外殻や内部に仕込んだ鋼球などを破片として飛び散らせて、それにより破壊・殺傷する弾のことをいいます。
(ただし手榴弾の場合は、発煙、閃光などのタイプもあり、必ずしも「榴弾」になっている訳ではありません。ややこしいですが。)
英語では「グレネード(grenade)」と呼びますが、「擲弾」なんかも同じくグレネードと呼ばれてて紛らわしいので、手榴弾は「ハンド・グレネード」と呼んだりします。

 射程距離は、手榴弾の重さや投擲手の技量などにより異なりますが、せいぜい30メートルほどです。
投擲時には安全ピンや安全栓を引き抜き、所定の信管点火動作を経て、投擲します。
信管への点火方式は、レバーを外す、紐を引く、信管を叩くなどがあり、アメリカのマーク2手榴弾はレバー式*1、旧日本軍の使用した手榴弾は叩くことで点火する打撃信管方式と、紐を引くことで点火する摩擦発火式の両方式が使われていました。

日本陸軍の手榴弾

日本陸軍の手榴弾1921年(大正10年)に制定されました。(十年式手榴弾
のちに九一、九七、九九式(甲)/九九式(乙)と変化していきますが、機構的にはほとんど同じタイプで、九九式(乙)以外は打撃信管型となっております。

打撃信管は、靴のカカトや鉄兜、石などで強く叩くことで遅延信管に着火するタイプで、フライオフレバー式などと比較して、投擲までの挙動が多くなります。
九一式までは爆発秒時が7~8秒で、敵から投げかえされることがあったため、97式からは4~5秒となりました。

九七式手榴弾

f:id:lmacs510:20170611195137j:plain

なお、十年式と九一式は発射筒を取り付けることにより、擲弾筒*2での発射が可能でした。
打撃信管の採用や、九一式までの爆発秒時の長さは、擲弾筒での発射を想定したためのようです。
ちなみに、九九式(甲)は小銃擲弾器*3による射出が可能でした。
(九九式(乙)は手投げ専用です。)

ちなみに、変わり種…という訳ではないのですが、「普通」の手榴弾以外に、三式対戦車手榴弾なんてものもあります。

三式対戦車手榴弾

f:id:lmacs510:20170611195218j:plain


こちらは成型炸薬弾を利用した歩兵用対戦車兵器で、敵の装甲車両を破壊することが目的でした。
成型炸薬弾とは、漏斗状に成型した爆薬内側に金属板の円錐(ライナー)を装着したものです。これが爆発すると円錐中心軸に向かって衝撃波が集中、液体金属の超高速噴流を起こし(モンロー/ノイマン効果)対象を破壊します。

なお、手榴弾ではないのですが、類似の兵器に刺突爆雷なんてものもあります。

刺突爆雷

f:id:lmacs510:20170611195249j:plain

こいつは、棒きれの先に成型炸薬弾がついてて、敵戦車に接近し刺突することで点火・爆発するものです*4。刺突した兵の至近距離で爆発が起こるわけで、攻撃が成功しても無事生還できるのかは疑問符がつくところです。
こいつと三式対戦車手榴弾をあわせて眺めていると、平和の大切さが身に沁みてくるので、そういう気分(?)の時は是非。

陶器製の手榴弾

最後に、陶器製手榴弾について。
旧日本軍は、太平洋戦争末期に、陶器を使った手榴弾を製造しました。
物資の不足によるもの、といわれていますが、旧日本軍が多くの書類を焼却したことなどにより史料が不足しており、断定には至ってない模様。
ちなみに、陸軍、海軍でそれぞれ製造しており、海軍のものは「手榴弾四型」と称された「らしい」です。

陶器製手榴弾

f:id:lmacs510:20170611195324j:plain

米陸軍軍事情報部の部内向け戦訓広報誌Intelligence Bulletinによると、「相応に炸裂はするものの破片効果は皆無なことから、完全な震駭兵器である」としています。
殺傷力の小ささはよく指摘されていることですが、大きな音と火炎を上げて炸裂することで敵兵士の動揺を誘うくらいは出来たのでしょうか。
(ちなみに、日本軍はそういった目的で爆竹を利用したりしていました。)

なお、埼玉県川越市某所の川原に、陶器製手榴弾の残骸が大量に廃棄されているようです。
残念ながら、私は行ったことがないので詳細は不明です。
また、以前、沖縄の海軍壕公園に足を運んだ際、資料館に陶器製手榴弾が展示されていたのですが、今も展示されているかはわかりません。

 

 

*1:フライオフレバー式。レバーによる管打ち式で、レバーを握って保持している(レバーを外さない)間は点火しない

*2:ミニ迫撃砲みたいなもの

*3:小銃と組み合わせて使用する擲弾発射器。ちなみに九九式(甲)は一〇〇式擲弾器で使用。

*4:余談ですが、このような、歩兵が敵戦車に接近して攻撃することを肉薄攻撃といいます。