Man On a Mission

システム運用屋が、日々のあれこれを記録していくブログです。情報処理技術者試験の話題多し。高度試験の攻略なども。最近はやや歴史づいてます…。

【戦争と兵器を知ろう】不発弾に注意

太平洋戦争の敗戦から70年ほど経過しましたが、未だに不発弾事故が時折発生します。
最近だと2009年に沖縄県糸満市で不発弾が爆発するという事故がありました。水道工事中の事故であったといいます。
他にも少し事例を挙げますと、1997年12月2日、山梨県富士吉田市の解体業者廃材置き場での爆発事故や、1974年3月2日、沖縄県那覇市にて幼稚園近くの不発弾爆発で幼児を含む4人が死亡した事故(他に34人が重軽傷)などがあります。

1956年の経済白書に「もはや戦後ではない」というフレーズが登場して流行語になった、なんて話を歴史の教科書だかなんだかで見たことがある人も多いと思います。ところが「戦後」は散発的ではありながらも、まだまだ至るところに顔を出してくるのです*1

閑話休題。本日はそんな不発弾についての話を少々。

不発弾についてのごくごく基本的な知識

一般に、砲弾や爆弾の5〜10%は不発となります。
そのため、砲弾発射時や爆弾投下時には、この不発の割合を考慮してやや多めに発射/投下します。
例えば爆弾投下では、本来必要とされる投下量よりも、5〜10%多い数を投下するわけです。精密爆撃なんかでも可能な限り複数を投下します。

時折耳にする残留不発弾の量は、上記の不発割合を基に推測したものであり、実際の調査からはじき出された数値ではありません。
例えば、太平洋戦争で最後の大規模陸上戦闘が行なわれた沖縄では、現在約2000トンの不発弾が残っていると推定されています。
これは、沖縄戦における日米両軍の砲弾・爆弾の量が約20万トンであったことから、そのうちの5%、約1万トンが不発であったと推測し、そこから今までに処理を行なった8000トンを差し引いた数字です。
そんな訳で、残量約2000トンという数値は、「概ね妥当だとは思うけど、実際はどうか分からない」という数値なわけです。
当然ながら、どのような種類の砲弾・爆弾が何発不発だったのかは不明であり、さらに不発弾はほとんどの場合地中深くに潜ってしまうので、その位置も特定できません。
この所在不明の不発弾が、建設工事の時などに発見されて、大騒ぎとなるわけです。

少々、余談。日本本土では終戦直後に、不発弾処理が国による終戦処理業務として行われました。しかし沖縄では、1972年5月15日の復帰まで米軍施政下だったこともあり、対策事業が遅れたと言われています。完全処理までは、今後70年ほどかかると予測されてるとか。
陸上自衛隊が1972年−2008年の間に処理した不発弾のうち、沖縄県の占める割合は件数ベースで31.4%、重量ベースで41.3%だそうです。

信管が重要

さて、不発弾が発見された場合、日本では通常、周辺封鎖や付近住民の避難を行なった上で、自衛隊による不発弾処理が行なわれます。
この不発弾処理ですが、基本的には不発弾の信管を取り外して、その上で砲弾・爆弾を地方自治体の保管場所に持っていくものです。
保管場所へ一時保管したのち、最終的には爆破処理や海洋投棄処分されたりします。
(ただし、平成19年4月1日以降、海洋投棄は禁止され、民間委託業者により陸上処理されることとなりました。)

上記過程のうち、安全面では信管を取り外すというのが重要です。
信管のついてない砲弾・爆弾は、それほど怖いものではなく、ハンマーで叩いたり、コンクリ床に落としたりする程度では爆発したりしません。近距離で別の爆弾が爆発したとか、火災などで燃え盛る炎に包まれたとかなら爆発もしますが、ちょっとした衝撃や火花で爆発するようでは、危なっかしくてトラックや輸送機などで前線まで輸送できなくなってしまいます。
砲弾・爆弾の中に入っている火薬(炸薬)は、それほど敏感なものではなく、例えば爆弾の中から炸薬だけ取り出して火を付けたとしても、爆発には至らず単に燃えるだけです。
これに対して、信管で使われる爆薬はかなり敏感なもので、この信管により弾殻内の炸薬に点火、爆発することとなります。そのため、信管さえ取り外してしまえば、暴発する危険はかなり減るわけです。

ちなみに、砲弾・爆弾の中の炸薬が「爆発」するためには、弾殻のなかに閉じ込められて圧力が高められている必要があります。
(なお、砲弾・爆弾の炸薬の多くは、熱を加えて溶かされた液体の状態で弾殻内に充填され、その後炸薬が冷えて固まった状態になります。)

余談ですが、ロシアなどでは、軍縮の折に大量の砲弾・爆弾を解体したことがあります。その際の解体では、信管を外した状態で万力のような金具に固定し、金属の棒を突っ込んで炸薬を掻き出すという豪快な方式でやってました。さらに弾殻については、炸薬を書きだした後、溶鉱炉に入れて溶かしていたそうです。こんな解体方式でも爆発したりはしなかったわけです。

最後に

まさか、上記を読んで、自分で信管を取り外そうなんて人はいないと思いますが、一応注意。
不発弾は大変に危険です。発見した場合はしかるべき筋(警察署や消防119番など)にすみやかに通報しましょう。
さらに、不発弾は所持するだけでも罪に問われます。

演習場に入り込んで不発弾を持ち出して事故となったケースや、沖縄県に来た観光客が不発弾を見つけて拾い、持ち帰ろうとして騒ぎになってるケースなどもあります。
冒頭で述べた2009年の爆発事故が示す通り、70年前のものでも爆発します。けして侮ることのなきよう。

 

 

*1:一応、注記。「もはや戦後ではない」というフレーズですが、希望に満ち満ちた脳天気な言葉ではありません。今までの戦後復興下での成長の伸びしろは尽きて、これから経済が新たな局面を迎えるに当たり今後の成長には課題がある、ということを指摘したものです。なので、本文の文脈で使うには適当でないかもしれないのですが…まあ、いいか。