Man On a Mission

システム運用屋が、日々のあれこれや情報処理技術者試験の攻略を記録していくITブログ…というのも昔の話。今や歴史メインでたまに軍事。別に詳しくないので過大な期待は禁物。

【日本陸軍の生活】ぐんたいぐらし! 4巻目【洗面・洗濯】

不定期連載(?)、日本陸軍の生活について語る当シリーズですが、前回取り上げた入浴に引き続いて、今回も衛生関連。
なお、当シリーズの今までの記事は以下のとおり。

【日本陸軍の兵営生活】ぐんたいぐらし!【内務班】 - Man On a Mission

【日本陸軍の生活】ぐんたいぐらし! 2巻目【兵たちの食事事情】 - Man On a Mission

【日本陸軍の生活】ぐんたいぐらし! 3巻目【風呂・入浴】 - Man On a Mission

そして、例によって例のごとく今回も記事タイトルについて謝罪いたします。ごめんなさい。他意はありません。

さておき、ゾンビサバイバルものでは水が貴重なものとなるため、風呂が贅沢なものとして描写されることがあります。たまに。
しかし、日常生活において水の用途は多岐にわたるため、実際には風呂以外のもろもろも我慢しているのでしょう。例えば、洗顔や歯磨き、手洗い、洗濯などなど。

軍隊においても、こういった洗面や洗濯は重要です。こういったものの管理をなおざりにすると、前回取り上げた入浴と同様に衛生上の問題が生じ、軍の戦闘力を低下させたりします。
軍隊が戦力発揮するためには、衛生管理が必須なのです。

…というわけで、今回は兵営生活における洗面・洗濯について。

兵営生活における洗面

日本陸軍の兵営では、起床後、各中隊ごとに設置された「洗面洗濯場」にて、歯磨きと洗顔を行うこととされていました。
この際、節水に努めるとともに、衛生面から手ぬぐいは各自が使用して他者に貸借しないよう指導を徹底しています。
なお、歯磨きには歯磨き粉と歯ブラシ(軍では歯磨楊枝と呼称)を用いましたが、これらについては支給されず自弁購入でした。同様に石鹸やカミソリなんかも自費で購入です。
(洗面具を入れる袋だけは支給されたそうです。)
ちなみに、当時の歯ブラシは木製の柄に動物の体毛を植えたものが主流でした。また、歯磨き粉については一応チューブ入りの練歯磨きも存在したのですが、紙箱や紙袋に収められた粉末の歯磨き粉が主流です。
こうした日用品は酒保(兵営内におかれた売店)で購入することとされており、練歯磨きや香料入りの石鹸は使わないよう指導されていました。
(酒保で販売される日用品は、市井よりも安い価格で実用本位なものが揃えられてます。)

この他に、食事前・用便後・演習後には必ず手洗いをするよう指導され、また、食事前・演習後についてはうがいを行うことが奨励されています。うがいには、5千倍に希釈した「過マンガン水」が使用されました。

兵営生活における洗濯

洗濯についても、洗面同様に各中隊ごとに設置された「洗面洗濯場」にて行われました。
洗濯に際しては、平時より戦時に備えて水と石鹸の節用を心がけ、洗濯は汚れの少ないものより行い、すすぎも汚れの少ないものからすすぐことと指導されています。
シャツ(襦袢)・ズボン下(跨下)・靴下なんかはこまめに洗濯することとされていたのですが、上着(上衣)・ズボン(跨)・外套なんかは極力洗濯せず、乾燥と刷毛による汚れ取りが奨励されていました。

なお、洗濯場には隣接して物干場(ぶっかんば)があり、こちらで洗濯物を干していました。
洗濯物を干す際は、盗難防止のために物干場に交代で見張りを出すことがあったようです。
ちなみに、内務班内で物品を紛失した場合には、他の内務班から盗んできて定数を合わせる「員数合わせ」が一般的に行われていました。
官給品は一度支給されたら二度と支給されないと思ったほうがよいので、盗難防止は大切なのです。

最後に

なお、前線においては当然ながら洗面も洗濯もろくに行えません。前回の入浴の話で書いたとおり、中には靴を半年も脱がなかったなんて人もいて、衛生状況は壊滅的でした。
歯磨きする余裕もないので、兵士の7割から8割くらいには虫歯や歯槽膿漏があったそうです。

主な参考資料

本記事を書くにあたり、以下の書籍を主な参考資料にさせて頂きました。

写真で見る日本陸軍兵営の生活