【戦前用語の基礎知識】重臣とは【大日本帝国】
前回、大日本帝国における元老についての記事を書きました。
ついでなので、重臣についても書いておきます。かなり短い記事となっています。
大日本帝国の「重臣」
元老である西園寺公望の老齢化により、後継総理大臣を奏薦するための元老に代わるべき存在として、「重臣」がクローズアップされるようになりました。
「重臣」というのがどういったものなのか、その範囲は昭和8年に定められ、重臣とは「内閣総理大臣タル前官ノ礼遇ヲ賜リタル者及枢密院議長」とされています。
「前官ノ礼遇ヲ賜リタル者」、略して前官礼遇者とは、内閣総理大臣、枢密院議長、国務大臣、宮内大臣、内大臣の礼遇を賜る経験者のことです。前官礼遇者のうち、内閣総理大臣前官礼遇については、総理在職4年以上または2回以上、またはかって枢密院議長、国務大臣、宮内大臣、内大臣いずれかの前官礼遇を賜ったもの、といった条件のもとで賜りました。
この基準については結構変更が多いので、時期によっても変わってくるのですが、昭和12年当時の内閣総理大臣前官礼遇者は西園寺公望、清浦奎吾、若槻礼次郞、岡田啓介が、昭和19年当時は若槻、岡田、近衛文麿、平沼騏一郎、東條英機が該当します。
ただし、のちに内閣総理大臣前官礼遇を賜らない総理大臣経験者が出るに及んで、総理大臣経験者は全て「重臣」とされることになりました。
なお、時に内大臣や宮内大臣、侍従長といった宮中グループのことも重臣と呼ぶことがあったようですが、これは上記に定められたものとは別で、単に天皇側近の重職者といった程度の意味です。
主な参考資料
本記事を書くにあたり、以下の書籍を主な参考資料にさせて頂きました。
事典 昭和戦前期の日本―制度と実態