Man On a Mission

システム運用屋が、日々のあれこれや情報処理技術者試験の攻略を記録していくITブログ…というのも昔の話。今や歴史メインでたまに軍事。別に詳しくないので過大な期待は禁物。

【アメリカ編】軍事趣味者は基地公害の夢を見るか?【軍事環境問題】

年が変わり2021年になりました。
なったのですが、だからどうだということもなく、正月ごときは何事もなかったようにスルーしていつもの通り辛気臭い話を。

今回は米軍の活動や基地がもたらす公害/環境被害について。
結構大きなテーマですので、当ブログで網羅的な取り上げ方はしないし出来ません。興味がある方は、記事末尾の書籍をお読みいただくなり、軍事環境問題についての文献や論文を探すなりしてみてください。

今回はアメリカにおける軍事環境問題を、次回は日本における在日米軍の基地公害問題を取り上げる予定です。もしかしたら2回で収まらないかも。

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【太平洋戦争/大東亜戦争】せっかくだから俺はこの〇〇〇を選ぶぜ【呼称】

本日は12月8日、太平洋戦争開戦の日です。
79年前の今日、英領マレー半島への上陸および真珠湾攻撃をもって太平洋戦争が勃発しました。

当ブログでは、12月8日にできるだけ太平洋戦争開戦にちなんだ話を挙げるようにしています。
とはいっても、まだ一昨年、去年の2回しか挙げてないのですが。

oplern.hatenablog.com

oplern.hatenablog.com

今年も太平洋戦争開戦にちなんだ話を、と思ったのですが、残念ながらあまり時間がとれませんでした。
なので本日は小ネタ。太平洋戦争「開戦」にちなむといってよいのか微妙感はありますが、太平洋戦争の呼称について少々。
時間もないことだし、あまり込み入った話はしませんのでその旨ご承知おきください。

なお、記事タイトルは例のゲームのオマージュです。なんだこのドカ貧は懐かしいですね。ちなみにゲームの発売は1996年なのですが、なんと2018年にサントラが出ています。
こちらにその経緯がありました。)

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【BCG・療養所】日本軍vs結核【結核対応その後】

世の中には、紛らわしいタイトルの映画が多くあります。例えば「ゴーストバスターズ」と「ゴーストハンターズ」。
ゴーストバスターズ」は原題そのままですが、「ゴーストハンターズ」の原題は「Big Trouble in Little China」と似ても似つかない名前なので、邦題で紛らわしくされた形ですね。
ゴーストハンターズの公開の方が遅いので、まあ、メジャーな映画に似せたとかそういう作為があったんじゃないかと思うのですが、ともあれ私はゴーストハンターズの方が好きだったりします。

紛らわしい名前の映画として少し面白いのが、香港映画「少林寺vs忍者」と「忍者vs少林寺*1」。
非常に紛らわしい邦題ですが、こちらの両作品、原題は双方とも「中華丈夫*2」です。
内容は全く異なり、「少林寺vs忍者」は中国人の夫と日本人の妻が武術をめぐって夫婦喧嘩となる話、「忍者vs少林寺」は、なんか徳川埋蔵金をめぐって(いるらしい。劇中ほぼ情報が開示されないのでよくわからない)若かりしマックス・チャンが忍者と戦う話です。
もしも、原題が同じことを踏まえてあえて紛らわしい邦題をつけたのであれば、なかなか凝ってますね。真相はどうだかわかりませんが。

さて、延々記事タイトルと違う話を続けてしまいましたが、ここから本題。
前回、日本陸軍が行った結核への対応について触れました。

oplern.hatenablog.com

今回は前回の補足的記事。太平洋戦争後半時期の結核対応および、結核療養所の事例とBCGについて少々。

なお記事タイトルが紛らわしいのは、香港映画「少林寺vs忍者」と「忍者vs少林寺」へのオマージュですごめんなさい。

*1:正確にはULTIMATE BATTLE/忍者vs少林寺

*2:「忍者vs少林寺」の方は「致命密函」「魔忍狂刀」という別名あり

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【日本陸軍】結核vs日本軍【感染症】

前回記事は、戦争や軍隊にまつわるイヤな話を取り上げるシリーズ記事の第5弾でした。

oplern.hatenablog.com

上記記事では、少し結核について触れています。

結核は、結核菌により主に肺に炎症が起きる病気です。
戦前戦中の日本では「国民病」や「亡国病」といわれるほど猛威を振るい、死因順位の首位を占めることの多い病気でした。

結核の高い罹患率・死亡率は軍事上も問題となり、特に人力政策(労働力確保および兵力確保)の面で重大視されます。兵力の減少と生産力の減少が同時に起きてしまいますので、当然ですね。総力戦においてはなおさら。

戦時においては特に罹患率・死亡率を低く抑えたいところですが、1931年の満州事変から日中戦争・太平洋戦争と続く戦時体制下では、逆に死亡率が劇的に上昇しました。
森亨氏の推定によれば1944年には死亡率が10万対241となっており、これは、日本結核史上のピークである1918年の10万対257に次ぐものです。

今回記事は、上記を踏まえて日本陸軍における結核への対応について少々。

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【戦争と軍隊のイヤな話】イヤばな #5【日本陸軍のタンツボ】

少し時間が取れましたので久しぶりに普通の更新です。
今回は、戦争や軍隊におけるイヤな話を取りあげる不定期連載(のつもり)第5弾です。

本シリーズは、最近、あまりに軽々しく軍事・戦争を扱う方が目につくようになったため、戦争で何が起こるのかよくわかってないのじゃないかと思って始めたものです。
戦争で何が起こるのか/何が起きていたのか知ることを主題としており、時代・地域などにはこだわらず、とにかく戦争とか軍隊におけるイヤな話を取り上げます。なお、記事の性質上、書籍などからの引用が多くなります。

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更新頻度低下の影響か、最近ただでさえ少ないアクセス数が一層低下しています。
せっかく(?)閲覧数が少なくなっているので、今回は書くかどうか迷っていた話でもしようかと思います。今なら見られてないからイケる!たぶん!

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過去記事では、憲兵の拷問、沖縄戦における住民被害、イラク戦争における兵士の死傷×2を取り上げてきました。

【戦争と軍隊のイヤな話】イヤばな #1【憲兵の拷問】 - Man On a Mission

【戦争と軍隊のイヤな話】イヤばな #2【沖縄戦】 - Man On a Mission

【戦争と軍隊のイヤな話】イヤばな #3【現代の戦争:イラク】 - Man On a Mission

【戦争と軍隊のイヤな話】イヤばな #4【現代の戦争:イラク】 - Man On a Mission

今回は少し趣向を変えて、生理的な方向でのイヤな話です。

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もったいぶっても意味がない程度に記事タイトルで内容がダダ洩れになってますが、タンツボが主役?となります。
この時点でだいたい予想がつくかと思いますので、苦手な方は読むのを止めてくださるようお願いします。

本題のイヤな話に入る前に、タンツボについて少々。

若い人は知らない方が多いかもしれませんし、実のところ私も実物を見たことはないのですが、名前の通り、痰を吐くための壺です。
かなり古くから存在していたようで、中国の南宋~元代(13~14世紀)に制作された漆器なんかも残ってる模様。

bunka.nii.ac.jp

日本だと、昭和の頃は駅構内とかによく設置されてたらしいのですが、平成に入る頃にはほとんど見られなくなっていたようです。
ちなみに、タンツボが駅に置かれるようになったきっかけは、1904年(明治37年)の内務省令「肺結核予防ニ関スル件」でした。
通称「痰壺条例」。

同省令では、結核が喀痰により伝染するという当時の学説に基づき、公衆の集まるところにはタンツボを設置するよう求め、タンの消毒を行い、さらには結核患者が居住した部屋、使用した物品は消毒するよう定められました。
政府予算はほとんど使われず、警察による取り締まりが中心だったということです。

「肺結核予防ニ関スル件」が制定された背景には、急速な近代化と富国強兵策の強行、産業革命の進行による結核の爆発的な流行がありました。
同省令は「痰壺条例」と揶揄されるくらい評判が悪かったのですが、その頃開催された「国際結核病予防学会」での決議を受けたもので、一応なんの根拠もなく定められたものではありません。またタンツボ以外にタンや唾を吐くことを禁じたことから公衆衛生が前進する一助となりました。

とはいえ「対策」といえるような代物ではなかったのも事実で、本格的な結核対策として1914年(大正3年)に「肺結核療養所ノ設置及国庫補助ニ関スル法律」が、1919年(大正8)年には「結核予防法」が制定*1されます。
ただし、当時は化学療法もBCG もありませんので、上記法律による「結核対策」は患者を隔離して伝染を防ぐことでした。
ちなみに、同法の成立には慢性伝染病対策という公衆衛生上の観点だけでなく、人力政策(労働力確保および兵力確保)が要因にあったことが指摘されています。

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閑話休題。つい余計な話をしすぎましたが次章より本題にはいります。
今回は、日本軍で常態化していた私的制裁というか軍隊内イジメのお話。

なお私的制裁については過去、何回かにわたって記事にしてますので興味がありましたらどうぞ。

【戦争を知ろう】新兵訓練と私的制裁【日本軍】 - Man On a Mission

【日本陸軍】私的制裁の種類【新兵イビリは蜜の味?】 - Man On a Mission

【鉄拳制裁】海軍の私的制裁【海軍精神注入棒】 - Man On a Mission

【日本軍】私的制裁あれこれ【陰湿と不条理の大和魂】 - Man On a Mission

私的制裁では、海軍が陰惨な暴力をふるう傾向があったのに対し、陸軍ではよりイジメらしい陰湿なものが多い傾向にあります。
今回は、陰湿な陸軍の方。

なお、以降は延々と不快な話が続きますので、ご承知おきください。
ちなみに、今までの画像は、ナポレオン~覇道進撃~10巻より。

さあ、それでは、イヤな話を始めましょう。

*1:同法附則により「肺結核療養所ノ設置及国庫補助ニ関スル法律」は廃止されました。

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