Man On a Mission

システム運用屋が、日々のあれこれや情報処理技術者試験の攻略を記録していくITブログ…というのも昔の話。今や歴史メインでたまに軍事。別に詳しくないので過大な期待は禁物。

私のPDA遍歴 その2

CASSIOPEIA E-700

パームサイズ型PDA*1に興味を失いかけた私を、強烈に引き戻したのがCASIO製PDA、CASSIOPEIA E-700でした。

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 E-700は、WindowsCEというOSをベースとする、PocketPCプラットフォーム採用のPDAです。WindowsCEという名前からわかるとおり、OS提供元はMicrosoftでした*2

当時としては

CPUにVR-4122 150MHzを採用し、32MBの(当時としては)大容量メモリを搭載。
ディスプレイも3.8インチ/240×320ドット/6万5536色表示の高解像度・多色表示のものを採用し、当時としてはハイエンドマシンでした。
前回CLIEと比べると、はるかに強力なマシンパワーを有していましたが、その分、大きく重く携帯性は今ひとつです。
(サイズは縦128×横81.8×厚さ18.9mm、重さは218gです。)

しかし、(当時としては)有り余る性能を武器に、音楽再生*3、動画再生*4、ネットにゲームと、多方面に活躍できました。現在のスマートホンに一歩近づいたのがおわかりいただけるかと思います。

E-700の発売された2000年当時、私はまだ学生でしたが、高性能を背景に様々な機能を実現したE-700に惚れ込み、結構無理して買ったことを覚えています。
実売価格は約6万。その性能を考えると、比較的安価といえる*5のですが、学生が気楽に買えるような値段ではありません。しばらくは食費やらなにやら色んな物を削る生活がつづきました。

しかし、このE-700、市場の評判はイマイチでした。
理由はただひとつ。コンパクトフラッシュ(以下、CFとよびます)スロットが無いことでした。E-700では、外部記憶拡張用としてSDカードスロットが設けられ、代わりに従来機で採用されていたCFスロットが廃止されました。

なにか問題が?

CFが使えないといっても、当時を知らない人には何が問題なのかわからないと思います。

問題は大きく2点。

まず一つは、当時、CFと比べてSDカードの容量が少なかったことです。CFなら200MBとかのものも発売されてましたが、SDカードでは、最大でも64MB程度でした。限られた本体メモリ*6を無駄使いしないためにも、外部記憶カードの容量は重要でしたが、この段階で3倍の差があったわけです。

もう一つの問題は、当時のPDAでよく使われていた通信カードが利用できないことです。当時、CF型の通信カードが発売されており*7PDAでネットしたい時の定番装備となっていました。
しかし、E-700ではCFスロットが無いので、通信カードが利用できません。
ではどうやってネットを使うかというと、携帯電話やPHSと有線接続するしかありませんでした。CFカードが使えれば、本体に通信カードを差し込んでシンプルにネットが使えるのに、E-700ではネット利用するたびに携帯電話とケーブルで接続する必要があります。これでは不便で積極的にネットを使う気にはなれません。
あと、外出先でE-700と携帯電話をつなげてゴソゴソやってる様は、半ば不審者だったと思います。
CLIEと違って、性能や画面解像度的にはなんとか実用的なWebサイト閲覧が可能だっただけに、なんとも残念なポイントでした。

それでもE-700

まあ、当時学生の身だった私としては、携帯とは別に通信カードの月額費用を払うなどあり得ないことでしたので、さほど気にはなりませんでした。
お気に入りのバカ映画の1シーンを動画に取り込んでニヤニヤしながら眺めたり*8、ゲームに興じたり、青空文庫の作品を読んだり、完全にオモチャ的な使い方でしたが、楽しんで使ってました。

ついでに、PocketPCでのゲームの例として、(PocketPCユーザーが、よくインストールしていたであろう)スペースハリアーメタリオンのスクリーンショットを載せときます。

メタリオン

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別離

しかし、その後、突然の別れがやって来ました。
私が就職し、社会人となってしばらく経ったある日のこと。
E-700を充電したまま忘れて会社に行ってしまい、深夜に帰宅。E-700を充電しっぱなしであったことに気づいて、ACアダプタを取り外しましたが、どうも様子がおかしい。E-700の外装が少し歪んだ状態になっており、電源が入らなくなってました。
とっくに保証期間も過ぎてましたので、こうして、私とE-700の蜜月は終わりを告げました。

最後に残念なことになってしまいましたが、まあ、値段分の元は取れたと思います。
またPDAを購入しようかと思ったのですが、当時は仕事が忙しく、買ったところであまり遊べないと判断。こうしてしばらくパームサイズ型PDAと離れることになります*9
しかし、パームサイズ型PDAは失ってしまったものの、私はもう一つPDAを所持していました。
と、こう書くと、PDAを使っていた人は、シグマリオンJornadaといったハンドヘルド型のPDAを想像されると思いますが、違います。
斜め下方向にこじらせていた私が所持していたもう一つのPDAは、腕時計型PDAEPSONのクロノビット WM-550Xでした。

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次回は、このクロノビットについて触れたいと思います。

 

 

*1:CLIEのように、キーボード等が無い手のひらサイズのPDAのこと

*2:実はWindowsCEは今も提供されてます。Windows Embedded Compactという名前に変わりましたが。ついでに、PocketPCプラットフォームは、W-ZERO3などで採用されたWindows Mobileの前身です。

*3:MP3/WMA/WAV再生可能

*4:独自形式にエンコードしておく必要あり

*5:E-700より性能が劣るPDAも同等の値段でした

*6:なんと、RAMとストレージが共用でした。32MBのメモリを搭載していますが、これがストレージとしても使われるわけです。

*7:ドコモのPinComp@ctやDDIポケットのC@rd H"など

*8:大抵、香港映画でした。東方不敗とか、アイアンモンキーとか。

*9:再びパームサイズ型PDAを所有するのは、W-ZERO3まで待つこととなりました。