Man On a Mission

システム運用屋が、日々のあれこれや情報処理技術者試験の攻略を記録していくITブログ…というのも昔の話。今や歴史メインでたまに軍事。別に詳しくないので過大な期待は禁物。

【戦争を知ろう】歩兵の部隊単位その4【師団より上】

さて前回の続きです。

一応、恒例?の前書きを。
当ブログでは最近、歴史…というか太平洋戦争の記事が増えてきました。当記事はそれらの補足として、中隊だの師団だのといった軍隊の部隊単位について解説するものです。
今回は師団より上について。軍団とか軍とか軍集団とか。

軍団以上の単位になると、ちょっとタイトルの「歩兵」が適切じゃない感じになりますが、なんというか「三銃士」なのに4人いるとかそういう類のものだと思って見逃してください*1

ちなみに、小さな単位から大きな単位まで部隊を順に並べると、下記のような感じになります。
(今回取り扱う部隊は赤字にしておきました。)

分隊 < 小隊 < 中隊 < 大隊 < 連隊 < 旅団 < 師団 < 軍団 < < 軍集団とか方面軍 < 総軍 

ただし組織や時期によって違いがあり、必ずしも上記のような構成となるわけではありません。

なお、その1からその3で取り扱った単位は下記の通りです。

その1分隊、小隊、中隊

その2:大隊、連隊

その3:旅団、師団

軍団、軍、軍集団とか方面軍、総軍

軍団、軍

師団の上級部隊は「軍団」または「軍」です。
第二次大戦時のドイツ、アメリカ、ソ連、イギリスでは、数個師団で軍団、数個軍団で軍を編成していました。
これに対し、日本軍では軍団結節がなく、師団の上級部隊は軍となります。

これらの上級部隊には各種の直轄部隊が所属しており、必要に応じて各師団を支援します。
例えば、師団配下の火砲よりもさらに大口径・長射程の火砲を配備し、後方に位置する敵を砲撃したり、攻城用の重砲を用いて要塞攻略を支援したり、といった具合です。
アメリカなんかでは、各軍団に機械化偵察大隊2個からなる機械化騎兵群を配備し、偵察を担当させたり、独立戦車大隊を置いて必要に応じて師団戦力に加えたり、といったことをしています。前回の記事で触れた「独立重戦車大隊」なんかもこれに類するものですね。

軍集団または方面軍

複数の「軍」が、さらに束ねられたのが「軍集団」あるいは「方面軍」です。
アメリカ、イギリス、ドイツでは「軍集団」と呼称しましたが、日本陸軍では「方面軍」と呼んでいました。
ちなみに日本陸軍で「方面軍」が新設されたのは、日中戦争の本格化により大陸派遣の兵力・展開地域が拡大したためです(1937年)。

総軍

複数の「軍集団」または「方面軍」で編成される最上級の編制単位が「総軍」です。
またしても日本陸軍を引き合いに出しますが、太平洋戦争開戦に先立って、中国大陸以外の陸軍作戦全般を担当するものとして創設された南方軍なんかが「総軍」に該当します。
(ちなみに、日本陸軍で「総軍」という名称が正式に決まるのは南方軍ができた後なのですが、その前からある関東軍支那派遣軍も「総軍」に該当するとされました。)
ちなみに、現在、存在する「総軍」としてはアメリカ陸軍総軍が挙げられます。

補給について

軍や軍集団、方面軍には各種の補給部隊など兵站関係の管理部隊が所属し、本国からの補給物資を軍集団や方面軍が軍に、軍が軍団や師団にそれぞれ供給していました。
「本国 - 軍集団や方面軍 - 軍 - 軍団」という兵站線が構築されるわけですね。ちなみに前回、師団は補給部隊を自前で備えていると書きましたが、当然ながら兵站線を無視して活動できるわけではありません。補給基地からせいぜい30キロ程度が限度で、それ以上離れると補給がままならなくなります。師団所属の各部隊がそれぞれ物資を携行することで短期間であれば行動できますが、その場合は1週間ももたずに戦闘力が大きく低下しました。
とはいえ、現実は計画どおりにいかないもので、補給の届かない状態で師団を行動させることもままあります。補給に問題が多かった日本軍では特に多発しましたが、日本軍に限らず各国でも同じようなケースが見られました。

指揮官

さて、「師団より上」の指揮官ですが、各国で異なっててめんどくさくなってきたので追いかけると長くなりますので、一例として日本陸軍を挙げます。
日中戦争以降の軍司令官は中将、方面軍司令官は大将が充てられましたが、太平洋戦争開戦以後はどちらも概ね中将が充てられることとなりました。また、総軍司令官は全て大将が充てられています。

主な参考資料

本記事を書くにあたり、以下の書籍を主な参考資料にさせて頂きました。

歴史群像アーカイブ volume 2―Filing book ミリタリー基礎講座戦術入門

図解・日本陸軍歩兵

 

 

*1:「ダルタニャンは三銃士じゃねえんだよ」とかお叱りを受けそうですが、それも見逃してください。