Man On a Mission

システム運用屋が、日々のあれこれや情報処理技術者試験の攻略を記録していくITブログ…というのも昔の話。今や歴史メインでたまに軍事。別に詳しくないので過大な期待は禁物。

【戦争と兵器】弾道ミサイルの迎撃【弾道弾迎撃ミサイル】

弾道ミサイルの基礎知識について語る、その7です。
延々と弾道ミサイルの記事が続きましたが、今回で終わりです。
最後は、弾道ミサイルの迎撃に用いられるミサイルについて少々。

現在、弾道ミサイルの迎撃はPAC-3やらGBIだのといった弾道弾迎撃ミサイル(ABM*1)によって行われます。
今回記事は、それらのABMをいくつか取り上げます。ただし、あまり細かい話はしないし、網羅的に取り上げるわけでもないので、詳細を知りたい方は専門書などをお読みください。

なお、弾道ミサイル迎撃の基本的な知識は、「弾道ミサイルの基礎知識について語る」その1となる以下記事をご覧ください。

oplern.hatenablog.com

ちなみに、「弾道ミサイルの基礎知識について語る」その2〜6までの記事は以下の通り。

【戦争と兵器】弾道ミサイルの命中精度【半数必中界(CEP)】 - Man On a Mission

【戦争と兵器】弾道ミサイルの燃料【液体燃料と固体燃料】 - Man On a Mission

【戦争と兵器】弾道ミサイルの軌道【ロフテッド/ディプレスト】 - Man On a Mission

【戦争と兵器】弾道ミサイルの発射プラットフォーム【TEL/潜水艦】 - Man On a Mission

【戦争と兵器】弾道ミサイルと潜水艦【SLBM】 - Man On a Mission

弾道ミサイルの迎撃と飛翔段階

弾道ミサイルの迎撃は、弾道ミサイルの飛翔段階に応じていくつかに区分されます。
具体的には、以下段階に分けられます。

  1. 上昇段階(ブースト・セグメント)
  2. 中間段階(ミッドコース・セグメント)
  3. 終末段階(ターミナル・セグメント)

そして、各種ABMはそれぞれ対応可能な段階があり、どの段階に対しても対処できるというものではありません。例えば、イージス艦で運用されるABM、SM-3ブロック1は中間段階での迎撃、パトリオットPAC-3は終末段階での迎撃を行います。
ちなみに、上昇段階で対応可能な迎撃システムとしては、(ABMではありませんが)空中発射レーザー(ABL)が計画されていました(2011年に開発研究を縮小)。現在は、弾道ミサイルに直撃して破壊するKEI(運動エネルギー迎撃弾)を開発中です。

今回は、各種ABMのうち、SM-3、パトリオットPAC-3、THAADについて取り上げます。

スタンダードミサイル3(SM-3)

SM-3は、弾道ミサイルが宇宙空間を慣性飛行している中間段階で迎撃を行います。
北朝鮮弾道ミサイルが話題になるたびに取り上げられる、海自イージス艦弾道ミサイル迎撃システムでは、SM-3ブロック1Aが使用されています。

さて、SM-3は、キネティック弾頭という小さな衛星のようなものを搭載しています。このキネティック弾頭は、超高速で飛来する弾道ミサイル(の弾頭)を赤外線画像センサーにより捕捉、進路変更・姿勢制御用のスラスターを使い軌道を微調整しながら、秒速3キロで弾道ミサイル弾頭に衝突することで撃墜します。

2018年1月現在、自衛隊の装備するSM-3ブロック1Aは、迎撃可能射程1200キロ以上、迎撃可能高度が500キロといわれています。短距離(SRBM)、準中距離(MRBM)の弾道ミサイルを撃墜可能であり、また限定的ながら、中距離弾道ミサイル(IRBM)への対処能力も持っています。しかしながら、大陸間弾道ミサイルICBM)の撃墜能力は持っていません。
IRBMおよびICBMの撃墜能力を獲得するべく、現在SM-3ブロック2Aの開発が進められています。日本では、イージス艦が搭載するフェーズドアレイ・レーダーSPY-1とSM-3のVLS(垂直発射システム)を地上に設置するイージス・アショアの導入が決定されましたが、配備の際にはSM-3ブロック2Aが導入される予定となっています。

パトリオットPAC-3

パトリオットPAC-3は、弾道ミサイル(の弾頭)大気圏再突入後の終末段階で迎撃を行います。
日本でも航空自衛隊が装備しており、こちらも北朝鮮弾道ミサイルがらみで度々とりあげられてますね。

なお、パトリオット防空システムのミサイルはPAC-1、PAC−2もあります。1991年の湾岸戦争に投入されたPAC−2が、イラク軍のアル・フセイン短距離弾道ミサイルを4分の1程度しか撃墜できなかったことから、性能向上型のPAC-3が開発されました。PAC-3は最大射程20キロ、射高15キロ以上となっています。SM-3と同じく、弾道ミサイルの弾頭に直撃することで撃墜する、運動エネルギー弾タイプとなっています。
誘導方式は、指令誘導およびアクティブレーダー・ホーミングによる終末誘導。

終末高高度防衛ミサイルTHAAD

最後にTHAAD。こちらもPAC-3と同じく弾道ミサイル弾頭が大気圏再突入した後の終末段階で迎撃を行うのですが、PAC-3よりも高高度において迎撃を行います。
最大射程200キロ、射高は40〜150キロとされています。こちらも運動エネルギー弾となっており、弾道ミサイル弾頭にぶち当たることで撃墜します。
誘導は更新機能がついた慣性誘導(INS)およびGPS誘導、目標突入時の終端段階では赤外線ホーミングとなっています。

 

 

*1:Anti Ballistic Missile