Man On a Mission

システム運用屋が、日々のあれこれや情報処理技術者試験の攻略を記録していくITブログ…というのも昔の話。今や歴史メインでたまに軍事。別に詳しくないので過大な期待は禁物。

【大日本帝国陸軍】十四年式拳銃【制式拳銃】

ここしばらく、延々と日本軍憲兵の記事を書いてきました。
それら一連の記事中、以下では憲兵の軍装について少し触れています。

oplern.hatenablog.com

憲兵は、一般の歩兵などとは異なり兵の身分でも拳銃を装備しますが、支給される拳銃は十四年式拳銃および九四式拳銃でした。
今回記事は、上記拳銃のうち、十四年式拳銃について少々。

十四年式拳銃のプロフィール

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十四年式拳銃

十四年式拳銃は、日本陸軍の技術将校である南部麒次郎(なんぶ きじろう)が設計・開発した南部大型自動拳銃を元に開発された自動拳銃です。
南部大型自動拳銃は構造が複雑で、製造コストの高さから陸軍に採用されませんでした。十四年式では構造が簡素化され、構成する部品数を少なくする一方で堅固さを持たせた設計となっています。
十四年式拳銃は、1925年(大正14年)、日本陸軍に制式採用されました。「十四年式」というのは、この制式採用された大正14年にちなむものです。
なお、十四年式拳銃は、国産の自動拳銃としては日本陸軍初の制式採用でした。

使用弾薬は8x22mm南部弾(十四年式拳銃実包)、銃身長は120mm、全長230mm、重量890g、装弾数は8+1発、ライフリングは6条/右回りとなっています。
銃のサイズの割に軍用拳銃としては弾薬の威力が弱いのですが、その分、撃ちやすく命中精度も高かったようです。

十四年式拳銃は約20年にもわたって生産が続けられたため、何度かの改修が施されています。
例えば、後期型では、中国大陸北部での戦訓にもとづき、防寒手袋をつけたままでもトリガーが引けるように、ダルマ型の大きなトリガーガードに変更されました。

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十四年式拳銃(後期型)

また、分解時、チェンバーに残っていた弾薬が暴発する事故が何度か起こったため、マガジンを抜くとトリガーが引けなくなるマガジン・セーフティが組み込まれています。
さらに、射撃時の衝撃でマガジンが脱落するのを防止する目的で、マガジン・ストップ・スプリングがグリップ部に増設されました。

ちなみに、十四年式拳銃の製造は、日本陸軍名古屋造兵廠、南部銃製造所などで行われています。

十四年式拳銃の構造

簡単ながら、十四年式拳銃の構造についても少し。

十四年式拳銃は、ハンマー(撃鉄)を持たずボルト内部のファイアリングピン(撃針)が直接前後に動いて弾薬を撃発させる、ストライカー方式が使われています。
作動方式は、自動拳銃では一般的なショート・リコイル式です。
(弾丸の発射時の反動を利用して自動的に排莢・装填を行います。弾丸が発射される際にバレルとスライドが固定されたまま反動により後退しますが、その距離が短い(薬莢の全長以下)ためショート・リコイルと呼ばれます。ちなみに薬莢の全長以上の距離を移動する方式はロング・リコイル。)
なお、スライドと銃身の噛み合わせについてはプロップアップ式となっています。

言ってることがよくわからないという方が多いと思いますが、その場合、この節はスルーしてください。知っても別に得することは無いと思います……。
もし、銃の仕組みに興味が湧いたなら、下記の本などをどうぞ。