Man On a Mission

システム運用屋が、日々のあれこれや情報処理技術者試験の攻略を記録していくITブログ…というのも昔の話。今や歴史メインでたまに軍事。別に詳しくないので過大な期待は禁物。

【大日本帝国】九四式拳銃【自殺拳銃】

前回、日本陸軍が制式採用した十四年式拳銃について書きました。

oplern.hatenablog.com

今回はそのついでに、九四式拳銃について書いておきます。
なお、かなり短めの記事となっています。

九四式拳銃のプロフィール

日本陸軍では、兵に対しては必要な装備が支給されますが、将校についてはすべて自己負担で買いそろえる必要がありました。
(ちなみに、個人装備一式で、約700円(現在換算で150万円くらい)程。)
兵とは違って、将校は拳銃を装備しますが、この拳銃についても私費購入となります。で、拳銃については外国からの輸入品が多く使われていました。
そのため、弾薬や補修用部品なんかも銃種ごとに異なり、所有者それぞれが対処することとなります。

こういった問題を解決するため、1934年、陸軍はすでに軍を退役して「南部銃製造所」を興していた南部麒次郎に対し将校や下士官向けの新たな自動拳銃開発を要請します。
要求事項として、弾薬にはすでに一定量保有され生産ラインも整っている8mm南部弾を使用すること、十四年式拳銃よりも小型かつ簡素な構造で生産・整備が容易であることが求められました。

これを受けて開発されたのが、九四式拳銃で、1935年に試作品が完成します。
名称については、開発発注年である皇紀2594年(1934年)の下2桁からとられています。

f:id:lmacs510:20180908234711j:plain

使用弾薬は要求事項の通りに8x22mm南部弾(十四年式拳銃実包)、銃身長は95mm、全長188mm、重量725g、装弾数は6+1発、ライフリングは6条/右回りとなっています。
十四年式拳銃と同じ弾薬を使用しますが、かなり小型になってますね。

九四式拳銃は将校らだけでなく、憲兵、機甲兵、航空部隊、空挺部隊らにも広く使用されました。
しかしながら、九四式拳銃には大きな欠陥があり、これを鹵獲した米軍将兵からは「自殺拳銃」と呼ばれることとなります。

自殺拳銃?九四式拳銃の欠陥

さて、不名誉なあだ名が与えられた九四式拳銃ですが、では「大きな欠陥」というのがなんだったかというと、暴発しやすいことでした。

九四式拳銃では、トリガーとハンマーをつなぐシアーという部品の一部が外部に露出しており、このシアーの露出部分を強く押したり、衝撃を与えたりするとトリガーを引いていないにもかかわらずハンマーが落ちて暴発するという冗談のような欠陥を持っていました。

f:id:lmacs510:20180908234927j:plain
赤円内がシアー露出部分

九四式拳銃の試作品ではシアーが露出したりはしてなかったようですが、これが量産にあたってなぜ変更されたのかは不明です。

余計な余談ですが、意外なことに九四式拳銃はフィクションでの登場頻度が何気に高かったりします。
独特なフォルムが人気の秘密なんでしょうか?暴発の危険性を知った後にこれらを見ると、そっちの方が気になって話に集中できなくなったり。
(オロシャのイワン(ジャイアントロボ)が使ってる分には、気にならないのですが…暴発しても平気そうだし。)