Man On a Mission

システム運用屋が、日々のあれこれや情報処理技術者試験の攻略を記録していくITブログ…というのも昔の話。今や歴史メインでたまに軍事。別に詳しくないので過大な期待は禁物。

【大日本帝国】酒保ってなに?【陸軍・海軍憩いの場】

前回、日・米の海軍におけるアイスクリームについての記事を書きました。

oplern.hatenablog.com

日本海軍には、「間宮」という有名な給糧艦(食糧を供給する輸送艦)がありましたが、間宮で製造したアイスクリームは、専用の魔法瓶に入れて、艦隊各艦の士官室や「酒保」に供給されました。

「酒保」というのは、兵営や艦艇内に設けられた売店のことです。歯ブラシや手拭、ちり紙、石鹸といった日用品や、うどんや酒類などの飲食物の販売が行われました。
今回はこの酒保について少々。

陸軍の兵営内酒保

兵営内の酒保は、売店だけでなく休憩室も兼ねており、喫煙なども可能でした。
酒保の造りは一定しておらず、長机・長椅子が置かれた程度の簡素なものから、それなりの飲食店風に装飾が施されたもの、中庭スタイルの庭園をもつものなど、様々です。

酒保で販売される日用品は、機能性を重視したもので、一般の市販価格よりも安価に設定されていました。品揃えも兵営生活を行なう上で不自由がないものとなっています。
酒保運営は連隊本部の「酒保委員」によって行われ、販売の実務は連隊の要員によって運用する場合と、民間委託を行なう両方のケースがありました。

飲食物については、そば、うどん、汁粉、おでんといった軽食、あんぱん、せんべい、羊羹、まんじゅう等の菓子、サイダーやビール、日本酒といった飲料を揃えており、その多くは委託業者により販売しています。
日用品同様に、これら飲食物も一般の市販価格より安価に購入できました。
前述した庭園をもつ酒保(酒保庭園)では、晴天時には庭で飲食することも可能でした。

海軍の艦内酒保

当然ながら海軍にも酒保があり、こちらは主計科(庶務・会計・被服・糧食を担当する科)が運営していました。

海兵団(海軍の新兵を教育する機関で各鎮守府に属する)などの陸上部隊だけでなく、艦艇内にも酒保が設けられています。
海兵団の酒保は食堂兼談話室となっており陸軍兵営の酒保と似たような感じですが、艦内の酒保は中央付近にある小さな部屋で、昔の駅の切符売り場に似た小窓があり、奥に品物が置いてありました。
日用品や飲食物を販売しましたが、その品揃えは陸軍と似たりよったりです。
平日は午後6時半、休日は朝食後に「酒保開け」の号令で営業を開始します。
購入の際は現金ではなく、酒保帳に購入品を記入し伝票を書いて、月末に集金する仕組みでした。

最後に

最後にというかついでの余談。米軍では、こういった軍隊内売店をPX(Post Exchange)とかBX(Base Exchange)とか呼びます。
(海軍だとNXとか、海兵隊はMCXだとか、割と色々に呼ばれます。)
ちなみに米軍の艦内では、航海中はアルコール禁止につき酒類は販売してません。
(前回の海軍とアイスクリームの記事で述べた、米海軍のアイスクリームへの尋常ならざる執着は、飲酒禁止の影響もあるようです。)

さらに余計な余談。その昔、米軍基地内で販売されてたケーキを食べたことがあるのですが、青・黄・ピンクのショッキングカラフルな見た目が印象的でした。味はというと、落雁(お盆のアレ)を砕いてからスポンジケーキをつなぎに再形成したのを食べてる感じ。重くて甘くて甘くて甘いバタークリーム付き。
砂糖と小麦粉とバタークリームの塊以外のなにものでもないといった風情の豪快な一品でした。
(かなり前の話ですので、今はどういったものが売られてるのかはわかりません。昔よりはマシになってるんでしょうかね…。)