Man On a Mission

システム運用屋が、日々のあれこれや情報処理技術者試験の攻略を記録していくITブログ…というのも昔の話。今や歴史メインでたまに軍事。別に詳しくないので過大な期待は禁物。

【都市伝説】戦争と都市伝説【オカルト】

今回記事は小ネタです。
まずは、最近買った本の紹介から。

私は、割と都市伝説とかオカルトに対して興味がある方だったりします。
ついでにいうと、2ちゃんとかの、いかにもどこかの誰かが設定や構成を練って作りました的なものよりは、自然発生というか、市井で熟成された素朴なものが好みです。
心霊写真とか動画もチープなヤツ*1が好きなのですが、最近は技術の進歩もあって、残念ながら妙に凝ったものが多数派になってしまいましたね。

それはさておき、上記書籍はかなりの力作で、「事典」の名を関するだけあって、戦後から2000年前後に語られた「怪異」について多数(1千種類以上…)収録しています。
索引も充実しており、50音順のみならず、類似、出没場所、使用凶器、都道府県別の索引を備え、読み物としてだけでなく、資料としても便利な一冊となっています。自分の出身地や現住の都道府県で語られた怪異を調べてみるのも一興でしょう。
使用凶器別索引で変わったものを引いてみるのもなかなか面白くて、ピアノ線付きの分銅を仕込んだ松葉杖を使う武闘派のコシマレイコさんだとか、ミカンを使うミカンばばあ*2とか興味深いです。

子供の頃によく聞いた話から、ネットで語られたものまでふんだんに入ってるのですが、個人的には、その多くの怪異の中でも戦争にまつわるものに特に興味を惹かれます。
実のところ、上記本収録の話に戦争絡みのものは多くなかったりするのですが、それでも原爆少女、七三一部隊の亡霊*3八甲田山の亡霊などいくつかが掲載されています。

こういった、戦争に関係するオカルト話・都市伝説(面倒なので、以下オカルト話含めて「都市伝説」とします)については、不謹慎と感じられる向きもいるでしょう。しかし、戦争は多くの人々に強い情動をもたらすこととなりますので、そこからは多数の都市伝説が生み出されます。いわば、戦争の副産物でもあり、そこには人々が戦争で感じた不安や恐怖、憎しみ、悲しみなど負の感情が反映されているのです。
また、こういった都市伝説はデマ・流言とも関係性があり、時に差別や迫害を生み出す(というか正当化する)源泉となりえます。
そんなわけで、私は歴史を学ぶにあたって、こういった事柄についても無視すべきではないと考えています。

ここで、もう一点、本を紹介。

こちらは、そのものずばり、戦地や紛争地帯で生まれた都市伝説についての本。
ウガンダ内戦や、アメリ同時多発テロベトナム戦争など、戦争・紛争で生み出された都市伝説について取り上げられています。有名な「ナチスの人間石鹸」なんかも。

なお、戦争にまつわる都市伝説について、オカルト的なもの以外の例を挙げるとマレーの虎と呼ばれた山下奉文(やました ともゆき)陸軍大将がフィリピンのルソン島に隠したという「山下財宝」伝説だの、1945年4月30日に自殺したはずのヒトラーが実は生存・逃亡していたとする「ヒトラー生存」伝説だの、東京大空襲による犠牲者を食べて異常繁殖・巨大化した「東京湾巨大魚」伝説なんてのがあります。
ヒトラー生存」伝説、「東京湾巨大魚」伝説は前掲の「戦場の都市伝説」にも載ってますが、「山下財宝」伝説については下記の書籍なんかがあります。

ちなみに、歴史群像の連載「戦場のミステリー」では、多種多様な都市伝説を扱ってます。
最新の2018年10月号(No.151)では米ガトー級潜水艦「タリビー」および「タング」の『信じられぬ「自沈」』についてで、こちらは都市伝説ではないのですが、

その前の2018年8月号(No.150)は『ヒトラーの死』にまつわるもので、これは前述の「ヒトラー生存」伝説とも関係してますね。

最後に

最後にというか、次回予告。
本当は今回記事で怪談「大高先生をおそったほんものの亡霊」について取り上げようと思ったのですが、時間が無くなったので、次回分に回します。
なんか怖い絵で有名らしいですよ?

 

 

*1:どう見ても生身の人間がカメラや地形的要因で奇妙(に見える)な写り方をしただけのやつとか、雑な仕込み感が溢れてるヤツとか。

*2:同書より引用。「ある森の中にゴザを敷いて座っており、そのすぐ側に何本かの鎌を用意しているという老婆の怪異。目が合うとものすごい速さで追いかけてきて、その際にはミカンを投げつけてくることもあるという。」鎌よりもミカンが中心要素として居座ってるわけですね。
「また直線よりもカーブでスピードが緩まるという特徴がある。」それは普通の人間なのでは…。

*3:同書では、七三一部隊の人体実験について「現在さまざまな情報が交錯しており、確実なことは言えない」と記載されてるのですが、人体実験が行われたことは確実といって良いかと思いますので、この点は残念なところです。まあ、歴史の書籍ではないのでしょうがないのかもしれませんが、こんなところにも歴史修正主義者(…ってほど上等なもんですかねえ?)の影響を感じて、暗澹たる気分。