Man On a Mission

システム運用屋が、日々のあれこれや情報処理技術者試験の攻略を記録していくITブログ…というのも昔の話。今や歴史メインでたまに軍事。別に詳しくないので過大な期待は禁物。

【海軍階級】将校と将校相当官【軍令承行令】

前回の予告通り、今回記事は将校と将校相当官についてです。
しばらく前に海軍の階級について記事を書いたのですが、その際、将校・将校相当官についてはややこしくなると思ってあえてカットしました。

oplern.hatenablog.com

カットした理由の一つは、海軍各科の知識が必要となるためだったのですが、前回記事にて海軍各科について一応説明しましたので、晴れて将校および将校相当官について説明していきます。

将校と将校相当官

尉官(少尉〜大尉)、佐官(少佐〜大佐)、将官(少将〜大将)といった階級をひっくるめて士官といいます。
将校とは、士官の別の言い方、すなわち士官=将校というイメージを持っている方も多いかと思いますが、日本海軍では将校とは兵科または機関科の士官のことを指していました。
兵科・機関科以外の各科の士官は、将校ではなく将校相当官といいます。

兵科士官・機関科士官が「将校」となるわけですが、兵科将校・機関科将校は艦船・部隊の戦闘指揮に直接関わる人員であり、そのような人員を将校という、という見方もできるかもしれません。
兵科将校・機関科将校は戦闘指揮権を持ちますが、将校相当官には戦闘指揮権がありませんでした。
(なお、特務士官は兵科であっても「将校」ではなく、戦闘指揮権は持ちません。)

ちなみに、士官の最高位は大将となりますが(称号である「元帥」除く)、将校相当官には大将位が設けられていません。
最高階級は各科により異なり、例えば歯科医科の最高位は少将、主計科の最高位は中将、といった具合なのですが、大将になれるのは兵科将校・機関科将校に限られました。
各科により結構格差があったわけですね。

指揮権の継承

先ほど、戦闘指揮権を持つのは兵科将校・機関科将校に限ると述べましたが、これについて少し補足しておきます。
日本海軍には、「軍令承行令」という、戦闘中に部隊の指揮権を継承する順番を定めた法令がありました。
これは、戦闘指揮官が戦死などのなんらかの事態で指揮が取れなくなった際、戦闘指揮権を継承する序列を決めたものです。
何度か改正されましたが、原則、序列は兵科将校が優先され、次いで機関科将校となっています。すなわち、兵科将校が全滅でもしないかぎり、機関科将校は艦の指揮を取れません。
また、極端なことをいえば、これでは兵科の海軍少尉の指揮下に機関科の大将が入る、なんてことになってしまいます。

この指揮権の継承はあくまでも戦闘指揮権に限り、各科階級の上下を決めるものではありません。
しかし、実際にはこの法令により「兵科の方が上」という意識をもつ将校が現れたり、結構な弊害をもたらしたようです。