Man On a Mission

システム運用屋が、日々のあれこれや情報処理技術者試験の攻略を記録していくITブログ…というのも昔の話。今や歴史メインでたまに軍事。別に詳しくないので過大な期待は禁物。

【世界のマイナー特殊部隊】MJKとデルタ【ノルウェー】

どこに需要があるのかわからない「世界のマイナー特殊部隊」第2弾です。
第1回めは、南アフリカ共和国の特殊部隊であるRecce(レキ)について取り上げました。。

oplern.hatenablog.com

2回めの今回は、北欧ノルウェーから、軍隊系特殊部隊のMJK(Marinejegerkommandoen)と、警察系特殊部隊のBeredskapstroppen、通称デルタについて。

ノルウェー海軍 マリーンイェーガーコマンド(MJK)

ノルウェー軍は陸軍・海軍・空軍そして郷土防衛隊から構成されますが、MJKは海軍の特殊部隊です。

1953年、ノルウェー海軍は、それまで単なる潜水作業員でしかなかった海軍ダイバーに、海岸地形の偵察や障害物の除去などコンバットダイバーとしての訓練を施すようになりました。
これは、ノルウェーが長い海岸線を擁することから行なわれた施策でしたが、東西冷戦の激化を受け、1968年には海洋特殊部隊であるMJKを創設することとなります。
MJK創設に関しては、米SEALsや英SBSから指導を受けたようです。隊員数は約200名といわれてますが、正確なところはよくわかりません。
能力的には、野戦任務に重点を置いており、近年はアフガニスタンなんかにも派遣されて治安維持に当たったりしてます。

ちなみに、冷戦時代の想定任務は、敵特殊部隊の洋上での迎撃、敵占領地域に潜伏しての情報収集や後方撹乱でした。

ノルウェー警察即応部隊Beredskapstroppen(デルタ)

お次は、ノルウェー警察の特殊部隊Beredskapstroppen、通称デルタについて。
特殊部隊は、「警察系」「軍事系」なんて分類をされることがありますが、米グリーンベレーや英SASなどの軍事作戦に従事する特殊部隊に対し、対テロや治安維持を主任務とするのが「警察系」特殊部隊とされます。
過去に取り上げた独GSG-9仏GIGNなどが「警察系」特殊部隊に該当し、これらの多くは1970年代のテロ事件の頻発を背景に誕生しています。
今回取りあげるデルタも同様で、1972年のミュンヘン・オリンピック事件から3年後の1975年、ノルウェー警察が特殊部隊創設を決定したことで誕生しました。

デルタは、志願選抜制となっており、隊員数は約50名といわれています。
隊員のほとんどは専属ではなく、普段は一般の警察官として活動し、緊急事態が発生するとオスロの部隊本部に招集されます。
ちなみに、他国の警察系特殊部隊には馴染みがなさそうな、潜水技能訓練や操船訓練、海上移動訓練なども行っており、これは、海上油田でのテロなどに対応するためです。

デルタは、2011年7月22日に発生したノルウェー連続テロ事件にも出動しています。
同事件では、オスロ政府庁舎爆破事件とウトヤ島銃乱射事件が連続して発生していますが、ウトヤ島の対応では午後5時26分の通報から約1時間後の到着になり、その間多くの犠牲者を出すこととなりました。

jp.reuters.com

ちなみに、到着が遅れた原因については、ノルウェー警察の装備不足(ヘリが1機しかなかったとか…)が指摘されており、デルタがどうこういうよりは、警察組織全体の不備と言えそうです。