Man On a Mission

システム運用屋が、日々のあれこれや情報処理技術者試験の攻略を記録していくITブログ…というのも昔の話。今や歴史メインでたまに軍事。別に詳しくないので過大な期待は禁物。

【大日本帝国】日本海軍艦艇の建造費 その3【蛟龍・回天・震洋】

前回、前々回と日本海軍艦艇の建造費例を挙げています。

oplern.hatenablog.com

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今回も引き続き海軍艦艇の建造費例を挙げますが、前回予告した通り、「特殊」な艦艇について取り上げます。
具体的には、甲標的丁型(蛟龍)、回天、震洋について。

建造費だけ挙げて終わりというのも何なので、一応、それぞれの艦艇に簡単な説明をつけています。ただし、前回、前々回同様に雑な説明となっているので、正確に詳しく知りたいという方は、書籍などでお調べ下さい(前回、前々回同様になげやり)。
建造費のおおよその現代換算額*1も付けてますので参考まで。

甲標的丁型(蛟龍)

甲標的は小型の潜水艇で、元々は洋上の艦隊決戦に際して甲標的母艦より発進して予定決戦海域に潜伏、戦闘の推移に合わせて魚雷による奇襲攻撃を行うものとされていました。しかしながら、実際には艦隊決戦の機会は訪れることなく、港湾襲撃や港湾防備、哨戒などで使用されています。
甲標的については、以前、記事を書いてますので、詳細はそちらをご覧ください。

【太平洋戦争】その後の甲標的【特殊潜航艇】 - Man On a Mission

今回は、いくつかある甲標的の発展型から丁型の建造費について取り上げます。

甲標的丁型(蛟龍):64万3650円(現代換算額:約4億9600万)

甲標的は段々と大型化していきました。最初の甲型では全長23.9m、排水量46tだったものが、丁型は全長26.25m、排水量59.3tとなっています。

回天

「人間魚雷」として知られる回天は、人間を魚雷の部品(誘導装置)として利用し、乗員が搭乗したまま敵に特攻する「必死」兵器です。

回天:40万円(現代換算額:約3億800万)

全長14.5m、胴体の直径は1m、全備重量8.3tとなります。
ちなみに、回天による特攻作戦は、駆逐艦給油艦揚陸艦、各1隻を撃沈、駆逐艦、兵員輸送艦、各1隻を小中破という戦果を挙げてますが、その代償として、伊号潜水艦9隻とその乗員845名、回天搭乗員89名、回天整備員37名を失っています。残念ながら、戦果に対して損失が大きすぎる割に合わないものでした。
(ちなみに、訓練中、回天搭乗員17名が事故死しています。)

震洋

震洋は、ベニヤ板製のボートに炸薬を積んで体当りするという特攻兵器です。

震洋:3万円(現代換算額:約2300万)

エンジンは自動車のものを転用していました。震洋による戦死者は推定2500人以上、フィリピンおよび沖縄での出撃が記録されています。

最後に

今回は、「特殊」な艦艇の建造費について取り上げましたが、生還率は低いものの一応帰還することが前提となっていた甲標的はともかく、特攻兵器である回天、震洋では、攻撃の「コスト」として人命も消費されることとなります。

日中戦争・太平洋戦争当時は「国に命を捧げる」という「美談」が蔓延しており、こういった美談は、「必死」攻撃を拒めない状況を作り出すのに大きな役割を果たしていました。

近年は特攻作戦の犠牲となった人々について、「家族や大切な人を守るために死地に赴いて云々」などと美談化する人が増えているようです。
美談といえば、戦時中、日本が捕虜となることをタブー視することになった背景にも、空閑少佐の自決という「美談」が存在していました。これについては以前に記事を書いています。

oplern.hatenablog.com

戦時中の日本国民は、自らが酔いしれた「美談」によって、自縄自縛的に捕虜となる道を絶たれることとなりました。こういった「美談地獄」とでも呼ぶべき事象は、割とあちこちで見られたりしますので、ひどい目にあわないよう気をつけたほうが良さそうですね。

…などと、最後に思い切り脱線してしまいましたが、これで日本海軍艦艇の建造費についての記事はおしまいです。ちなみに、太平洋戦争中の国家財政に占める軍事費(歳出)の比率は、58%〜70%*2に達したのですが、これだけのお金をかけて惨憺たる結果に終わったわけです。改めてろくなもんじゃないですね。

参考資料

本記事を書くにあたり、以下の書籍を参考にさせて頂きました。

図説日本海軍入門

 

 

*1:それぞれの金額算出年が異なりますので、当時の建造費と現代換算額の比は、艦艇毎で相違があります。

*2:ただし、軍事費比率には種々の統計があり、どれをとるかによってかなり異なります。